世界を席巻する「音楽と映像と肉体のミクスチャー」、enra(エンラ)の稽古場に潜入しました

2016.12.0915:00

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enra

TEXT:兵庫慎司

enra(エンラ)。映像とライブパフォーマンスの融合を極めたパフォーミング・カンパニー。2012年3月にビデオアーティストであり演出家の花房伸行が設立。(以上、公式サイトより)
テレビでもようく取り上げられているし、国内はもちろん海外でも何度もツアーを行っているし(というかむしろ海外の方が人気も評価も高い)、2015年5月にはカンヌ国際映画祭授賞式のオープニングアクトとして招聘されパフォーマンスを披露していたりもするので、ご存知の方も多いと思うが、そうでない方は「映像とライブパフォーマンスの融合」と言われてもピンとこないかもしれない。
という方は、まず、これをご覧ください。

■<enra × →Pia-no-jaC←コラボ作品>「METROPOLIS」

これがenraです。どうでしょう。めちゃくちゃかっこいいでしょう。めちゃくちゃおもしろいでしょう。このように、ダンスと映像それぞれの動きをシンクロさせる表現というのは、音楽のライブ等でも行われているが(私、Perfumeで観たことあります)、それだけを独自の表現として成立させたのがenraだ、という言い方もできる。

普段は花房伸行自身の作ったトラックや、金子ノブアキなど外部の音楽家が提供したトラックを使って作品を作っているenraだが、→Pia-no-jaC←をゲストに招いたライブを、2017年1月19日(木)・20日(金)に赤坂BLITZで行う。2014年に→Pia-no-jaC←のライブにenraがゲスト出演、共にステージに立った時、enraも→Pia-no-jaC←も「これはすごい!」「こんな体験したことない!」と興奮、そしてオーディエンスはそれ以上に大興奮、すさまじい歓喜が会場を包み、お互いに「絶対またやりたい!」とこの再実現を心待ちにしていたという。

→Pia-no-jaC←

→Pia-no-jaC←

そのリハーサルが行われているというので、そして見学OKですよ、というので、おじゃましてきました。
ホールのドアを開けたら、誰も踊っていない。→Pia-no-jaC←のふたりとenraのメンバーが、ひとつのタブレットの前に集まっている。と、しばらくするとみんなステージに戻り、リハーサルが始まる。と、1曲やったところでストップ、またみんなタブレットの前に集まって……。

そうか、1曲練習するたびに、それを撮った映像を見て確認しているのか。映像と音と身体の動きが完璧にシンクロしているのがenraのパフォーマンスだが、パフォーマー自体は映像を背にして動いているわけだから、自分の動きが映像と合っているか、そしてそれが美しい動きになっているかどうかは、やっている時はわからない。だからやってみる→それを撮ったものを見て確認する、ということが必要なわけだ。

1作品の稽古が終わるたびに、パフォーマー全員で録画モニターを見てチェック

なるほどー。大変! というか、すげえ時間も手間もかかるなあ、と驚いていたら、もっと大変なことがあった。次に男性パフォーマー4人と→Pia-no-jaC←がステージに上がり、「曲はこういう感じで」「俺の動きはこういう流れで」「じゃあ俺はこうで」──つまり、ここで新しいパフォーマンスを作る作業が始まったのだ。曲も動きもこの場でやってみて、話し合って、直して、またやってみて、4人の動きの流れと形と組み合わせて、そのたびに曲も修正していって──。映像は仮のものがアドリブで映されている。曲と動きが完全にできあがったら、それに合わせて完全にシンクロしたものを作るという。

うわあ。こうやって作ってるのか。大変すぎる。てっきりまず曲と映像があって、それに合わせて身体の動きを決めていくのだと思っていた。その動きも、振付師が完全に作り上げたものを、パフォーマーたちが再現していくんだろうなと想像していた。

逆だそうです。まずパフォーマーたちが実際にやってみて話し合いながら動きを決めていき、それが固まったあとで合わせて映像を作るそうです。

enra 公開稽古

スクリーンに投影した映像と音とパフォーマンスを融合させるのがenraの魅力

あのー、大変すぎません? その方法。とパフォーマーのひとりにきいた。パフォーマーのみなさん、それぞれバレエ・アニメーション・ハウス・新体操・アニメーションダンスからジャグリングやマーシャルアーツに至るほどに、そもそものスタイルがバラバラなので、それを総合的に演出できる振付師など存在しないそうです。だから自分たちで作るしかないそうです。

確かに。しかし。めんどくせえ! よくできるなそんなこと! 考えただけで気が狂いそう! と、愕然とした。そして実際に目の前で、→Pia-no-jaC←の曲とenraのメンバーたちの動きができあがっていくさま、ものすごいものがありました。圧巻でした。で、1月の赤坂BLITZが、本当に楽しみになりました。

なお稽古の合間に、enraのパフォーマーたちと→Pia-no-jaC←にインタビューの時間をいただきました。後日アップ予定、ぜひ御覧ください。という前にまだenraを観たことない方、上の映像をぜひご覧ください!